妊娠中に「赤ちゃんが産まれる前に温泉旅行を楽しみたい」「リラックスしたい」と思う妊婦さんもいるでしょう。
ゆっくりと温泉に浸かることで、身体を温めて心身の緊張がほぐれたりストレス解消できたりと良い効果が多くあります。
しかし、妊婦さんが温泉に入る場合、ご自分の体調や妊娠週数によっては転倒や感染症のリスク、脳貧血のリスクなどがあるため注意が必要です。
この記事では、妊婦さんが温泉旅行する際に気をつけたいポイントについて詳しく解説します。
安心して温泉旅行ができるように、対策を立てる参考にしてください。
※温泉入浴を問わず、妊娠中の旅行はリスクを伴うため主治医に必ず相談して判断しましょう。
妊婦は温泉に入っても問題ないのか
妊娠中に温泉に入ることは問題ありませんが、温泉に入る時期やご自分の体調次第では温泉を控えた方が良い場合があります。
妊娠初期は、赤ちゃんの成長も妊婦さんの体調も不安定になりやすい時期です。
つわりや血圧の変動、不正出血が起きたり、流産や早産の危険性が高まったりします。この時期は、身体に負担をかけずにゆっくりと過ごすことが大切です。
妊婦さんが温泉旅行をする場合は、妊娠中期を推奨します。
妊娠中期は、比較的体調が落ち着く方が多く胎盤が完成しているため、この時期を目安に温泉旅行の計画を立てましょう。
ただし、妊婦さんの妊娠経過によっては無理しない方が良い場合があるため、必ず医師に確認することが大切です。
昔は「温泉法」で禁止されていた
日本では昔、「温泉法」により妊婦が温泉を利用することが禁止されていました。
しかし、この法律には明確な医学的根拠がないとされて、妊娠中でも温泉に入れるように法律が改正された経過があります。
そのため、現在は妊婦さんが温泉に入っても問題がなくなりました。
妊娠後期は危険な可能性も
妊娠中に温泉を楽しむのは良いのですが、妊娠後期になるとさまざまな危険があるため控えた方が良いでしょう。
妊娠後期の大きなお腹によって、足元が見えづらく、身体のバランスが取りにくい状態となり、転倒する危険があるからです。
また、温かい温泉に浸かっていると血流が促され、血圧の変動に伴うめまいや動悸、息切れなどが起こりやすくなるでしょう。
切迫早産や不正出血を起こす可能性もあるため、妊娠後期の温泉は推奨できません。
妊娠中に温泉を利用するメリット
妊娠中の温泉には注意点やリスクなどがありますが、妊婦さんが温泉に入ることで得られる効果も多くあります。
転倒のリスク、長風呂や熱い温度の温泉に入るリスクなどを注意しながら、温泉による効果を感じてみてください。
冷え性が改善される
妊娠中は血液量が増大してしまうので、手足のむくみや血流の不良によって、冷え性になりやすい妊婦さんは多いでしょう。
そこで、温泉にゆっくりと浸かることで全身が温まり、血流が促されます。
手足がポカポカと温かくなり、冷え性の改善が期待できるのです。また、手足が温まったあとは寝つきが良くなり、睡眠の質も高まることもメリットといえます。
リラックス効果
妊娠中はホルモンバランスが不安定になったり、体調の変化で気持ちが沈んでしまったりする妊婦さんもいるでしょう。
ゆっくりと温泉に浸かることで、ストレスが緩和されて心身の緊張がほぐれやすくなります。温泉が好きな方なら、旅館に宿泊するだけでも気分がリフレッシュできるものです。
心身のリラックス効果により、妊婦さんの疲れを癒して、出産に向けての英気を養うことができるでしょう。
腰痛や肩こりがほぐれる
妊娠中は体重の増加や大きなおなかを支える必要があるため、肩こりや腰痛に悩まされることが多いでしょう。
大きなおなかかばう姿勢や運動が制限されるので、凝りを解消できずに、身体を動かすことを億劫に感じるかもしれません。
温泉に浸かることは、筋肉の緊張が緩和されやすくなり、痛みや凝りが軽くなることがあります。肩こりや腰痛が緩和されると、身体を動かすことや睡眠時の姿勢に対するストレスが軽減できるでしょう。
妊娠中の温泉で気を付けるポイント
妊婦さんが温泉で楽しむためには、注意しておきたいポイントがいくつかあります。
気を付けるポイントをおさえて、温泉旅行をむかえるまでに、事前の対応策や危険を防ぐ方法を考えておきましょう。
温泉が部屋についている宿を選ぶ
共同浴場は不特定多数の人が利用しているため、レジオネラ菌や大腸菌などによる細菌感染のリスクがあります。
妊娠中は免疫機能が低下しているので、細菌に感染しやすい状態です。
そこで、共同浴場よりも部屋風呂で入浴する方が安心できます。旅館によっては部屋風呂がない場合もあるため、温泉が部屋についている宿を選ぶようにしましょう。
1人での入浴は避ける
妊娠中は急に体調が変化しやすい状態のため、入浴中に倒れてしまう恐れがあります。
その際、1人で入浴すると、助けを求められずに対処が遅れてしまう場合があるでしょう。
万が一、入浴中に体調不良や倒れてしまったときを考えて、家族や友人と一緒に入浴すると安心です。
もし、ご夫婦それぞれで共同浴場に入浴する場合は、利用する人が多い時間帯を選んで入浴しましょう。
部屋のお風呂でも同様に、そばに人がいる状態で入浴するのがおすすめです。
転倒に注意
妊娠中の大きなおなかによって足元が見えづらいことや、温泉の成分によって床が滑りやすい状態で、浴室内で転倒するリスクがあります。
万が一転んでしまうと、背中やおなかに強い衝撃を受けて、破水や出血などが起きる危険があるでしょう。
浴室内を歩く場合は、ゆっくりと移動して転ばないように注意してください。手すりがあれば、安全のために利用しましょう。
長湯はNG
温泉に浸かると、妊娠中の身体は血液量が増えて血流が促されます。
そのため、長い時間入浴していると、のぼせやすくなるため注意が必要です。
長湯ではない場合でも、体調によってはお風呂から上がった瞬間に血圧が変動し、めまいを起こして転倒する危険もあるでしょう。
妊娠中の温泉では10分程度に済ませて、体調や時間を確認しながら入浴するように意識してください。
空腹時や満腹時は避ける
妊娠の有無にかかわらず、空腹や満腹の状態で入浴することは避けましょう。
空腹時に入浴すると貧血を起こしやすくなるため、軽食をとってから入浴することをおすすめします。
また、妊娠中は水分を多めに摂る必要があり、入浴前にコップ1杯のお水を飲むことも大切です。
満腹時の入浴は消化不良を起こしやすく、腹痛や吐き気などが現れる可能性があります。食事直後は避けて、満腹感が落ち着いてからゆっくりと入浴しましょう。
熱すぎるお湯やサウナ・水風呂はNG
温泉によっては42度を超えるような高温設定の温泉がありますが、妊娠中は熱すぎる温度のお風呂は避けましょう。熱いお湯に入ると、急激に血圧が変動してしまい、脳貧血やめまい、おなかの赤ちゃんへの影響を起こす可能性があります。
また、長時間のサウナや水風呂で冷水を浴びることも、血圧の急激な変動を起こしやすいため、妊娠中は控えてください。
水分補給を忘れない
妊娠中は、おなかの赤ちゃんや羊水、妊婦さんの全身に血液を循環させるために、妊娠していないときよりも必要な水分量は多くなります。
入浴時は大量の汗をかいて、体内の水分が奪われてしまうので、入浴前にコップ1杯分のお水を飲むことが大切です。
また、入浴後にもお水を飲み、不足した水分をしっかりと補うよう意識しましょう。
湯冷めしないように対策する
温かいお風呂に入ったあとは、湯冷めをしないように上着を羽織ったり腹巻きを使用したりしましょう。
湯冷めをして身体が冷えてしまうと、おなかが張ってしまう可能性があります。
旅館では浴衣が用意されていますが、妊婦さんの体型に合わなかったりおなかを冷やしたりするかもしれません。念のために、自宅で着用しているマタニティー用のパジャマを持参することをおすすめします。
緊急時の対応策を事前にチェックする
温泉旅行中に万が一、体調不良やおなかの張り、出血などが起きた場合に備えて、緊急時の対応策について医師と事前に確認することが大切です。
お出かけの際は、母子手帳と健康保険証を必ず持参し、旅館の近くにある産院を調べておく必要があります。
ただし、緊急時にすぐに対応できるよう、自宅や通院している産院の近い場所から選ぶと安心です。妊娠中の温泉旅行は、できるかぎり遠出を避けて、近場で楽しむことをおすすめします。
妊娠中の温泉選びは泉質チェックも大切
温泉地によって泉質に特徴があり、温泉旅行は温泉の泉質を楽しむことも醍醐味です。
しかし、妊娠中は肌が敏感になっている方も多く、刺激の強い泉質で肌トラブルが生じる可能性もあります。
妊娠中におすすめなのは単純泉であり、効能成分が薄く、刺激が少ないことが特徴です。
逆に、酸性の温泉は殺菌作用があり、刺激が強いので避けた方が良いでしょう。また、アルカリ性の温泉はお湯のぬめりが強くなり、転倒するリスクがあるので注意が必要です。
そのほかにも硫黄泉やラジウム泉などがありますが、においや刺激が強いので、肌が敏感になっている場合は避けた方が良いといえます。
妊娠中の温泉旅行についてのよくある質問
妊娠中の温泉旅行における入浴のメリットや注意点として、ほかにもよくある質問をまとめています。温泉旅行を計画する際の参考にしてください。
温泉では感染症が心配です
妊娠中は免疫力が低下しているため、妊娠していないときに比べて細菌に感染するリスクが高まります。そのため、妊娠中の温泉を不安に思う妊婦さんは多いでしょう。
実際に、温泉水で感染症が起こることに対して明確な根拠はないため、過度に心配する必要がありません。しかし、不特定多数の人が利用する洗面器や椅子、足ふきマットなどは細菌が繁殖しています。
十分に洗い流してから利用するか、それでも心配な方は部屋風呂がある旅館を選ぶようにしましょう。
妊娠中の温泉旅行、遠出はしない方が良い?
温泉を含めた妊娠中の旅行では、体調を最優先に考えて計画を立てることが大切です。
自宅から数時間も離れた場所に移動すると、乗り物の振動によっておなかに張りが出てしまう恐れがあります。移動による疲れで、体調不良につながる可能性もあるでしょう。
万が一のトラブルやリスクを防ぐために、妊娠中はできるかぎり自宅から近く、移動する時間が短い場所を選ぶことをおすすめします。また、温泉旅行から帰ってきたら、ゆっくりと休めるように予定を調整するといった工夫も必要です。
アルカリ性の温泉は避けた方が良いでしょうか?
温泉によって泉質に特徴があり、アルカリ性の温泉は美肌効果があるといわれています。しかし、妊娠中は肌が敏感になっているため、アルカリ性の強い刺激があるお湯は肌トラブルを引き起こす可能性があるでしょう。
また、アルカリ性のお湯の特徴として、床がぬめりやすいことが挙げられます。ぬるぬるした床は滑りやすく、妊婦さんが歩くのに転倒リスクがあるため危険です。
このような注意点から、アルカリ性の温泉は避けた方が良いといえるでしょう。
妊婦は温泉玉子を食べても良い?
妊娠中は免疫力が低くなり、食中毒にもかかりやすい状態です。生卵にはサルモネラ菌に感染する可能性が高く、特に妊娠中は食べるのは危険とされています。
温泉玉子の場合は70度以上の高熱で30分以上加熱され、サルモネラ菌は死滅しているため、妊婦さんが食べても問題ありません。
ただし、徹底して食中毒を防ぐためにも、温泉玉子を購入したら新鮮なうちに食べるようにしましょう。
妊婦は足湯に浸かっても良いですか?
足湯は、入浴と比べて全身への負担が少ない方法であり、しっかりと身体を温める効果が期待できます。そのため、妊娠中にリラックス効果や冷え性を解消することを目的に、足湯をすることをおすすめします。
ただし、足湯をするときは、不特定多数が利用する公衆の足湯は控えた方が良いでしょう。お湯には水虫やレジオネラ菌などが繁殖しており、免疫力の低い妊婦さんは感染するリスクがあります。
刺激の強い泉質を避けて、衛生状態の良い足湯を利用するようにしましょう。
まとめ
妊婦さんでも、温泉に入ることに問題はありません。ただし、転倒や血圧の変動などのリスクがあるため、妊娠中の温泉旅行は、妊娠中期で体調が安定しているときに行けるよう計画を立てることをおすすめします。
その際、妊娠中の旅行はリスクを伴うため、温泉旅行が可能かどうか主治医に必ず相談してください。また、旅行中のトラブルや緊急時に備えて、入浴の注意点や避けるべきことを確認し、十分な準備と対策法を検討することが大切です。ただ、少しでも不安があるなら旅行は避けてください。
このようにしっかりと対策と準備をした上で、思い出に残る楽しい温泉旅行にしましょう。
国内旅行のプロ「マイちゃん」です♪
旅行大好きで毎月必ず国内旅行をしています。
一棟貸しに長期滞在して各地の穴場スポットを巡るのが最近のブーム。